デイトレーダーの法人化というのは、専業トレーダーの人なら一度は考えたこと、興味を持ったことがあると思います。恐らく面倒だと思ったり、難しいと思って躊躇したことでしょう。
今回は出来るだけ簡単な言葉でわかりやすくお伝えしていきます。
また、法人化することで得られる税金面でのメリットだけでなく、わざわざ面倒な手順を追ってまで作り上げてしまう大きなデメリット部分に関してもきちんと説明したいと思います。
※デイトレーダーの法人化について簡単にわかりやすく動画で解説しました。
文章が苦手だったり、細かい仕組みよりも得か損かなどをハッキリさせたいという方は当記事の最下部にあります動画の方を参考にして下さい。
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デイトレーダーが法人化するメリットとは
トレーダーが法人化することで得られるメリットは、税金面で安くなる可能性があるということです。気を付けて下さいね。あくまで「可能性」です。税金が高くなる人もいます。
どんな人が安くなるのか、またどのくらい安くなるのかなどは後述します。
他にあるメリットとしては、社会的信用が得られる点です。
デイトレーダーという職業は世間から見ると社会不適合者とも取られるケースがあるくらい、まだまだ認知度も低く信用を得られていない職業です。
住宅ローンなどを組みたくても、なかなか組めないわけですね。
しかし、やっていることは変わらずとも、法人化してしまえばあなたは立派な会社の社長さんになるわけです。そしてその会社から給料を得ていることになるわけですね。
社長と言ってもいいし、サラリーマンと言ってもいい立場です。
そうして3年間の実績を積み重ねれば住宅ローン審査もバッチリ通るでしょう。
このように社会の信用を得られるというのは一番大きなメリットかも知れません。
法人化すると経費で落とせる範囲が広い
こちらも税金面で有利に働く部分ですね。
専業デイトレーダーとして特定口座・源泉徴収あり口座でトレードをしていると、確定申告をする機会さえありませんし(しても良い)、経費に認めてもらえるものも何もありませんでした。
しかし法人化すると、パソコンやインターネットなどの通信費、株関連の雑誌(四季報など)、株式セミナーなどの勉強会費用や情報収集費用なども全て経費で落とすことが出来ます。
会社として収益を挙げるために必要だったと言えるものは全て経費になるわけです。
しかし裏を返せば、会社が利益を出すために必要だったと明確に言えないものに関しては経費に出来ませんので、調子に乗ってプライベートの物まで経費に計上しないようにしましょう。
デイトレーダーが法人化する大きなデメリットとは
デイトレーダーの法人化には大きなデメリットも介在します。
世の中どんなことでもメリットだけというわけにはいきませんね。
まずは箇条書きにしてみたいと思います。
- 法人化・会社設立の作業が難しい(業者に委託する方がいい)
- 赤字でも法人住民税が7万円かかる
- 決算手続きが素人には難しい(税理士に委託する方がいいがお金がかかる)
- 法人用口座では特定口座が使えない
- うまく計算しないと税金が個人時代よりも高くなる危険性あり
いかがですか。けっこうなデメリットがありますよね。
まず法人化の作業ですが、これは面倒過ぎるので業者さんに委託しましょう。1万円もかからずにやってくれるところがいくらでもあります。もちろん自分でも作業は少し必要です。
この時にかかる費用も経費に出来るので領収書はきちんと保管しましょう。
また、赤字を出した年でも法人住民税が7万円かかります。ここで言う赤字というのは、株式投資で赤字というわけではなく、デイトレ収支から経費や自分たちへの給与などを差し引いた法人所得が赤字になった場合のことです。まぁ株式投資で赤字ならば会社の損益も赤字でしょうけどね。
余談ですが、個人のデイトレーダーは損失繰越が3年間です。
対して法人ならば9年間繰り越せます・・・が・・・法人化するか迷っている人はこんな赤字を繰り越すことをメリットと考えないでしょうから、この部分はメリットから省きました。
税理士と顧問契約が理想
確定申告は個人の確定申告と比べものにならないほど複雑で、はっきり言ってきついです。ですから税理士に委託することがほとんどになるかと思います。
この料金が安くても6万円前後かかると思って下さい。
また、税務調査などが入る可能性も考えると、法人では顧問契約をすることが理想とされています。何かあった時、常に力になってくれるための顧問契約ですね。
そうなると月々15000~25000円程度かかってくるのが普通です。
どんどん経費がかかってきますね・・・。
法人では特定口座が使えない
これはとても大きなデメリットです。
法人では、決算期が自由に決められるため、みんながみんな12月で締めるわけではありません。そういう意味もあってか、1月~12月の損益を集計してくれる特定口座が使えません。
個人口座の特定口座を使うことも出来ないことはないようですが、その場合は自分の名義の口座は他の証券会社も含め全て会社の運用という扱いにする必要が出てきます。
また、税務署にその旨などを伝えておく必要もあるでしょう。
さらに言えば12月決算にしておく必要もあるはずです。
この特定口座が使えないとなると、一般口座での取引を全て記録しておく必要があります。もしもスキャルピングのようなトレードをしている人はこの作業は正直無理に近いと思います。
ですから、ある程度トレード回数が少ないトレーダーさんか、集計作業を苦にしないトレーダーさんでない限り、この部分で法人化への道から離脱することになると思います。
しかもここまで苦労した上に、計算をミスすると税金が高くなってしまうのです。
自分や配偶者の給与は定期同額給与
社長である自分や配偶者への給与は1年間同額でなければいけません。
途中で増減することも出来ますが、その場合は損金(経費)扱いされません。
ですから結局のところ増減させないことになります。
ですから、自分が1年間でどのくらいの利益をデイトレで出せるか大体把握している人でないとこの部分で離脱することになります。自分の実力を正しく把握する必要があるわけですね。
デイトレーダー用の税理士さんにヘルプ
デメリットを強く書いてきましたが、実はデイトレーダーをメインに扱った税理士さんというのも調べるとかなりの人数が出てきます。
例えば1年間で稼げる利益の計算がうまくいかない場合は、法人口座と個人口座を使い分けるなどして乗り切ってくれるアドバイスをくれるような税理士さんですね。
しかし、税務署はこれを利益のすみ分けとして許そうとしない可能性があります。
税務調査があればここは争点になるかと思いますので、ある程度そういうことがあっても心が折れずに立ち向かえる精神力を持ったタイプである必要があると思います。
デイトレーダー専用の税理士さんは他にも色々とデメリットを解消するためのアドバイスをくれると思うので、最後まで読んだ上で法人化したいと思ったら是非相談してみて下さい。
税理士さんを探そうと考えて街中を歩いてみると、異常とも思えるほど税理士事務所や会計事務所の看板があることに気付きます。本当に多いので試しに気を付けて歩いてみて下さい。
それだけに価格設定や得意分野も様々になります。
ですから近所に飛び込みで行くと、自分の目的・・・つまりデイトレーダーの法人会計、節税に特化した税理士さんで、なおかつ価格が安いなんていう理想的な税理士さんに会える可能性はほぼ0です。
今は便利な時代ですし、ネットで探すのが一番です。
どちらも無料で税理士さんを紹介してくれるサイトです。
恐らく税理士さん側から報酬をもらっているのでしょう。こちらが希望する条件の税理士さんを探してくれて、なおかつ気に入らなければ何度でも無料で紹介してくれるそうです。
一度税理士さんに自分自身の環境と希望を伝え、相談してみると法人化すべきかどうかの答えももっとハッキリするかと思います。
仮想通貨トレーダーとして法人化を考えている方も是非上記でご相談下さい。仮想通貨関連の方が節税メリットや損益分岐点の考え方は明確なので、すべきかどうかはすぐにわかります。
ただ、主となる業務を他に用意するように言われる可能性は高いです。
仮想通貨の現在の税制についてはこちらに詳しく記載してあります。
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デイトレーダーの法人化で出来る節税例
年間利益が500万円のトレーダーで見てみましょう。
実は個人の専業トレーダーも2018年の確定申告から、2017年までと比べて大きな節税対策が出来るようになったのをご存知ですか?今までと比べて約18万円もの節税が出来ます。それも簡単に。
このやり方については文末に詳しい記事をリンクします。
ですから、ますますデイトレーダーが法人化するメリットが狭まっている時期です。
では比べていきましょう。
年間利益が500万円の個人専業トレーダー
- 所得税・・・約60万(申告分離課税で15%、100万円が控除対象)
- 住民税・・・約25万(申告不要制度)
- 国民健康保険・・・約1~2万(およそ1万円×家族人数)
年間利益が500万円の法人化トレーダー
- 年収500万円のサラリーマンの手取り額・・・約400万(これと同等程度)
- 経費を計上した分だけ税額も下げる余地あり
- 税理士費用や法人住民税がかかる(しかし経費計上は出来る)
ご覧のように、経費をあまり使わない人にとっては何のメリットもありません。それどころか健康保険などの料金が高くなるため、税金が高くなる危険性も大きいのです。
ただ上記は社会保険に加入している場合の話なので、個人デイトレーダーにおいて国民年金支払い額を加味しないとフェアではありませんね。
ちなみに法人側には策があります。
配偶者に経理などの役職を与え、同じ給料を渡すとしましょう。そうすることで所得をそれぞれに分配することが出来ます。これにより累進課税制度による所得税が抑えられます。
例えば自分の給与を400万にし、配偶者の給与を100万円に設定すれば、配偶者は103万の壁の中にいることが出来るわけですし、微妙なコントロールも事前に計算しておけば出来るわけです。
この辺りはせっかく顧問契約するのだから税理士さんに細かい計算を投げてしまってもいいと思います。仕事して下さいってところですね。
デイトレーダーの法人化をどう考える
正直なところ、2018年より始まった所得税と住民税を別々に申告出来る制度がなければ法人化もかなり魅力的に映る面もありました。
しかし、この制度により、専業デイトレーダーで利益を出している人のほとんどが15~20万円程度の節税を簡単に出来るようになりました。
そうなるとわざわざ面倒な作業をし、税理士費用や法人住民税も支払い、領収書の管理などもしなければならない法人化のメリットは税金面においてかなり薄れてしまったと思います。
前述のように、大きなメリットは税金面よりも社会的地位の確立という部分に見出すべきだと言えます。住宅ローンを組みたいなどの目的がある場合は頑張って法人化するのもいいでしょう。
しかしそうでないのなら、個人トレーダーとして所得税を申告分離課税で、住民税を申告不要制度で計算するように確定申告をすることで節税することが一番いいと私は考えます。
動画解説はこちらになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。以前計算をした時はもっと法人化にメリットを感じるものでしたが、やはり2018年の改正により、個人デイトレーダーに有利な制度が出来て税金面のメリットはほとんどなくなったように感じます。
というよりは、個人の専業トレーダーにメリットが付与された感じですね。
それでも法人化に興味がある!わからないことがある!もっと詳しく聞きたいことがあるから質問させてくれ!という方はメールをくれれば私のわかる範囲でお答えします。
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このデイトレーダーの法人化こそ、自分がどんな立場で、どんなトレーダーになりたいかによってすべきかどうか決まってきます。きちんと考えて、ベストな答えを見つけ出しましょう。
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