米市場に再び暴落がありました。当然日経平均先物も大きく下落して戻ってくることになりました。直近で言えば2019年8月6日の朝、8月15日の朝に同じような現象がありました。
8月6日の朝は個別銘柄も大きく値を下げて始まりました。しかし寄り底相場となり、その後ぐんぐん上昇。プラスに転じる銘柄も多く出たほどのリバウンドを演出しました。
対して8月15日は最終的にやや戻したものの、寄り後もどんどん値を掘る展開となり、寄りから参戦したデイトレーダーもかなり苦戦したように思います。
米市場暴落後の朝の相場について詳しく考察していきます。
もくじ
米市場暴落後が大チャンスとなったのはいつからか
正直なところ明確な時期はわかりません。しかし私が株式投資を始めた2006年にはすでにそのような兆候がありました。そしてサブプライムローン問題が始まった頃には確実にその傾向が出ていました。
当時と今の状況は似ていて、米市場がバブルでグングン上昇するものの、日経平均は高値を目指すような動きが出来ず、新興市場に至っては下落相場となっていました。
米市場が高くなることが多く、翌朝の日本市場もギャップアップ(GU)するケースが多かったものです。しかしそこを天井とし、完全な寄り天の動きになってしまうこも多くありました。
こうなるとデイトレーダーとしてはつらいものです。
始めたばかりの私が勝てるはずもなく大損する日々に突入しました。
その中で時には米市場が崩れる日もありました。そんな時、私は思いました。「GUしても結局マイナスになるんだからギャップダウン(GD)なら絶望的に下がるだけじゃん」と。
しかしそういう日に限って寄り底となり、前日比+に転ずる場面も見ました。
素人目からすると何が何だか全くわからないという気持ちでした。
ポジションが違えば目線も変わる
株式の値動きはうまく読めないものの、心理の分析をすれば少しわかるのではと思いました。
※空売り目線を入れるとさらにわかりやすくなりますが、今回は考えないものとします。
GUの場合
- 買いポジション・・・この含み益を担保に利益を伸ばそう。下がってきたら素直に売り
- ノーポジション・・・昨日の終値の方がお買い得だったか、買い向かうのは勇気がいるな
GDの場合
- 買いポジション・・・含み損がなくなるまで売りたくないな。せめてトントンまで戻さないかな
- ノーポジション・・・持ち越さなくて良かった!全部ディスカウント価格に見える
もちろん思考は十人十色ですが、大衆心理で考えればほぼ当てはまると思います。
難しく考えるとこんがらがってしまうので、単純に考えます。
人間は物事を見る時、どうしても主観で見てしまうということです。もっと噛み砕けばワガママだということです。株価の値動きを読もうとしても勝てないわけでした。
自分の都合を押し付けて考えてしまうことも多いですからね。
このような人の心理で考えるようになり、暴落相場の対処法は明確に見えました。
暴落パニック相場は寄り底からの激リバ相場に期待
GDの時の心理に注目です。
買いポジションの人は含み損が大きくなってしまい、身動きが取れなくなっています。
また、この時すでに追証などで「売るしかない」という人、選択の余地がない人は寄り付きで強制的に売られることになるので寄り直後の値動きに影響は与えません。
むしろ熱くなって買い直す場面さえあるかも知れません。
これらを総合して考えるとやはり大きなギャップダウンの後は一時的な激リバ相場に突入しやすくなります。しかしその多くは10分~15分程度のもので、その後に大きな押しが起こります。
これも大衆心理を考えれば当然のことなのかも知れません。
寄り値で買ったデイトレーダーたちは含み益を持っていますが、前日から持ち越していた組は含み損が減少していくところを見ていることになります。
当初より、少しでも含み損がなくなって欲しい、トントンにしたいという目線でいます。
ならば急激なリバウンドが起こり、前日比プラスマイナス0に近付けば近付くほど、そういう人たちが売りたい気持ちになってきます。しかしその前にデイトレーダーのリカク感情も働きます。
どちらが先に売るかはわかりませんが、誰かが売り出すと、天井で売ろうと待ち構えていた人たちが慌てて売りに走ります。そうやって我先売りが出やすくなるのです。
ですから最初の押しがある程度大きくなることも言わば自然な流れなのです。
このように米市場暴落後の朝は毎回のように決まった値動きをします。また、個別銘柄を選定する意味もそんなになく、とにかく指数と同じ値動きをする銘柄で溢れかえります。
ですから難易度という意味では非常に低くなるのが特徴です。
デイトレで勝てなかった私が2007年以降、未熟なりにも勝てるようになったのはこういう値動きに気付き、そのタイミングでサブプライムローン問題やリーマンショックが起こったからだと思います。
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アメリカ市場暴落後の朝に変化の兆候
デイトレーダーにとって米市場暴落後の朝は大チャンスになる理由、おわかりいただけたと思います。長いことこのアノマリーは続いていたのですが、なかなか目をつけられていませんでした。
その大きな理由は、寄り底相場となっても結局最終的には下落してしまう相場が多かったからだと思います。
寄り直後の値動きに大きなドラマがあっても、数日が過ぎ、日足チャートでしか確認出来なくなれば「寄り底だった」という事実は闇に葬り去られますし、体験していない人は考えもしません。
結果的に寄り値より高く引けても、日足で見れば暴落に見えるものです。
米市場暴落後の相場は怖いというイメージが拭い去れないままということですね。
このような値幅取りは北朝鮮によるミサイル問題や米中貿易戦争などでも比較的簡単に利益を出すことが出来ました。そしてそれだけ続いてもこの考え方は通用し続けました。
しかしここにきて少し変化が見えてきました。
米市場の暴落、いや超暴落があっても翌朝の寄り値が言うほど悲惨ではなくなっているということです。前述のように米市場暴落後の朝はデイトレーダーにとって大チャンスです。
持ち越し組は大ピンチです。
しかし8月6日のように全戻しするような相場も多くなり、持ち越し組もそこまでパニックにならず、どうせ戻るだろうという気持ちを持つようになったと思います。
また、デイトレーダーからしても、「こういう時は寄りで買えばいいだけだ」という楽観的思考を持つ人が多くなったと思います。
その2つが合わさった結果、寄り値が思ったほど低くならない相場になりました。
そうなると上値を買いに行く人も少なくなってしまい、最も取りやすい激リバ相場も起こりにくくなります。ギャップダウンの上に寄り天気味の相場で寄り後さらに暴落というケースも増えます。
こういう相場になってしまえば誰も得しません。
持ち越し組が少しでも早く逃げて自分だけでも助かりたいと思った結果、朝の暴落チャンスが起こっていたわけですが、デイトレーダーが我先に買って自分だけでも得したいと思うようになった結果、寄り値の暴落が回避されるようになりつつある。
このような変化が今、明確に起こっています。
やはり相場は生き物、相場は物の怪です。1つ大きな武器があってもそれで永遠に食っていけるわけではありません。日夜努力を続け、自分自身も進化し続ける必要があるでしょう。
どんなに優れた手法や考え方があっても、多くの人がそれに気付いてしまえばもう武器にはなりませんからね。私もまた新たな武器を持つために研究を続けていきたいと思います。
大幅ギャップダウン相場の寄りでの狙い方について解説しました。
まとめ
デイトレーダーにとって大きな武器となる大幅ギャップダウン相場が徐々にその効力を失いつつあります。難易度が上がってきているわけですね。うまく対応していくことが大事です。
どんなに変化が起こっても最後は人間の心理で注文が入るわけですから、心理を考えることが大切ですね。
また、どんな相場になっても、利益が一時的に出せなくなっても焦ることがないよう、デイトレ以外の収入源を作っておくことも大事です。心のゆとりはデイトレに良い影響を与えますからね。
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